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平安時代の仏手


木製・金彩色
平安時代
川端康成がロダンの女の手の彫刻に魅せられて小説「片腕」を書いたように、すぐれた手の彫刻は、全体像が想像できなくても完全な美しさを放つ。この仏手はおそらく菩薩像のものではないかと思われ、その指に優美な表情を見せる。平安時代中期以降の仏像の多くは寄木造りで、木製の釘を差し込んで固定した肩や手や首は、特に外れやすい箇所である。この仏手も、そうして外れてしまった手の一つであると思われるが、そのあまりの美しさ故に打ち捨てられることなく、千年の時を超えて今ここにある。折れた手首の切り口がまた美しく、手のひらを上にして置いた時の曲線は、たとえようもなく美しい。
