Minoru Nomata

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野又穣 Perspective-28

野又穣の絵画
野又穣
Perspective-28
2001年
アクリル

この作品は架空の煙突がある工場のような建物が描かれた小品である。彼の作品には塔や幾何学的構造物がよく描かれるが、それらは実在の建物ではない。それはまるで古代からそこに存在していたかのような確かな重量感と現実感を持ってそこにある。彼の画面に描かれる建築物は、近代建築でありながら、古代遺跡や要塞を思わせる。幾何学的で整然とした構造は理性的でありながら、どこか夢の中の風景のような不思議な空気を漂わせている。この現実と幻想の境界に立つ感覚が、見る者の想像力を強く刺激する。

野又穣の作品には静寂がある。多くの作品では人物が描かれず、広大な空と建造物だけが存在する。その沈黙こそが見る者に時間の深さを感じさせる。彼の絵画は、極めて洗練された構図と色彩によって支えられている。空は淡いグラデーションで広がり、光は静かに建物の面を照らし出す。色彩は抑制され、落ち着いたトーンが画面全体に統一感を与えている。この簡潔で端正な画面構成は、日本的な美意識にも通じる余白や静謐を感じさせる。

Art Collection

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