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千体地蔵菩薩

千体地蔵菩薩
この仏像は元興寺(奈良県奈良町)に伝来する鎌倉時代の千体地蔵菩薩である。庶民的要素が強く、大きさや彩色が像によって異なる。また眼や口など顔の造詣を殆ど省略しているのが特色である。千体地蔵菩薩像は古くから元興寺極楽坊の天井裏から何体も出てきており、特に戦後の解体修理によって多数発見されている。藤原時代の千体地蔵菩薩が、貴族が独力で千体の像を寄進したのに対して、元興寺の千体地蔵菩薩はお参りする善男善女が一体一体寄進し、長い年月の間に千体に達したものである。この地蔵菩薩を眺めていると、庶民的な暖かさが伝わってくるのはそのせいだ。庶民出身ながら画壇の頂点にのぼりつめてなお謙虚であった円山応挙の藤花図屏風を背景にあしらうことにする。八百年の旅路の果てにここにあるのも何か言いようのない感慨を感じる。
