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テレーズ・オルトン「インクライン」

2012
oil on canvas
テレーズ・オルトンは独自のスタイルを貫く英国の女性画家である。テレーズ・オルトンは1953年英国に生まれる。1983年ロイヤルカレッジ・オブ・アートを修了し、その後ロンドンを中心に制作活動を続け、欧州各国やアメリカでも意欲的に展覧会を開催している。1987年に英国のターナー賞にノミネートされ、世界的な画廊であるマルボロ画廊(Marlborough Fine Art)専属の画家として、現代抽象絵画の作家として強く影響を与えた一人である。巨大で深遠な抽象画でその地位を確立していたオルトンではあるが、近年画風を一変させている。この作品は彼女の代表作である。一見すると美しい風景画と捉えられる作品ではあるが、不自然に高い視点から描かれ、静寂さを感じさせる繊細な描写は観る者を無音のパノラマへと引き込む。純粋に絵画と向き合い、人間と自然の間で思索するオルトンの作品は、抽象と具象の垣根を新たな視点から乗り越える作品であると私は思う。
